セクハラという言葉から、身体に触られる場面だけを思い浮かべるかもしれません。しかし、職場で繰り返される性的な話題や、応じなかった後の仕事上の扱いも、相談で伝えたい出来事です。
この記事の要点
- 職場のセクハラは対価型と環境型の観点で説明されています
- 性的な発言も対象になり得て、同性間や取引先との場面も含めて相談できます
- 飲み会や出張は、場所に加えて参加の経緯と職務との関係を残します
- 当日の言動と、その後の仕事上の扱いを別々の日付で記録します
目次(10項目)
対価型と環境型は、どこが違う?
厚生労働省は、性的な言動への対応に伴う不利益という側面の「対価型」と、性的な言動によって働く環境が害される「環境型」を説明しています。名称を覚えるより、言動の後に何が起き、仕事にどんな支障があったかを整理すると相談しやすくなります。
類型 | 見るポイント | 記録する手がかり |
|---|---|---|
対価型 | 拒否や抵抗の後に労働条件で不利益を受けたか | 言動、対応、その後の異動・評価等の通知と説明 |
環境型 | 性的な言動が働く環境にどんな支障を生んだか | 場面、繰り返し、仕事を避けざるを得なくなった経緯など |
この表は個別の出来事を自動的に認定するチェックリストではありません。また、二つの欄が完全に分かれていなくても、困っていることを相談できます。
触られていない、同性だから、とは限らない
公式の説明では、性的な発言や行動が対象となり、異性間だけでなく同性間も含まれます。取引先や顧客も行為者になり得ます。「上司から女性への接触だけ」と狭く考えず、自分の意に反する言動や、その後の状況を具体的に残してください。
一方、言葉の一覧に当てはめただけで結論を出すこともできません。本人が望んだやり取りか、仕事との関係、言動が行われた状況なども含めて確認されます。
架空例:会議で性的な話題を振られたとき
次は、説明のために作成した架空例です。
- 日時・場所:9月4日、朝の打ち合わせ、会議室。
- 言動:担当案件の報告中に、先輩から私生活に関する性的な質問を受けた。具体的な言葉は、今書ける範囲で別のメモに残した。
- 自分の対応:言葉が出ず、話題を業務に戻そうとした。
- 周囲:同僚が二人いた。誰が聞いていたかは未確認。
- 影響:次の会議で報告することが怖くなり、上司に報告方法の変更を相談した。
- 希望:同じ話題を繰り返さないようにしてほしい。詳しい内容を誰まで共有するか先に知りたい。
具体的な言葉を書くのがつらい日は、無理に全文を再現する必要はありません。「性的な質問をされた。詳細は今は書けない」と置いておき、話せる範囲を相談先に伝えることもできます。
拒否できなかったことも、そのまま相談する
笑ってやり過ごした、黙ってしまった、仕事の関係で断れなかった。その対応を取り繕わず、どうしてそうしたかを自分の言葉で残します。自分の対応だけで「相談できない」と決める必要はありません。社内窓口のほか、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)で相談先を確認できます。
見せる資料には第三者の個人情報が含まれることがあります。相手や職場全体へ一斉送信する前に、誰に何を見せる必要があるかを相談してください。
飲み会や出張中でも、仕事との関係を伝えて相談できる
社外での出来事だからと、自分で相談の対象外にする必要はありません。厚生労働省のセクハラの説明では、出張先や、実質的に職務の延長と考えられる宴会も職場に含まれます。会社の建物かどうかだけでなく、何のための場で、誰と、どのような経緯で参加したかを整理します。
ただし、同僚が同席した飲食の場が全て同じ扱いになるわけではありません。勤務時間外の懇親の場については、職務との関連、参加者、参加が強制的か任意かなどを考慮するという公的な説明があります。本人が把握している事情を伝え、個別の判断は相談先に確認します。
開催の案内と、実際の参加の経緯を分ける
誰が案内したか、目的として何が説明されたか、参加をどう求められたかを書きます。「任意」と案内されていても、別の場面で参加を求める言葉があったなら、両方を残します。「実質的に強制だった」という評価だけでなく、そのように感じた具体的な説明が手がかりになります。
参加者は役職や仕事上の関係が分かる程度で足ります。出張なら、移動中、業務の打ち合わせ、会食、宿泊先での連絡など、どの場面だったかを区別します。私的な時間と業務の境目が分からない場合は、分からないままで構いません。
架空例:会食の案内から翌日の相談まで
次は編集部による架空例です。
案内:出張先で、取引先との夕食に参加するよう上司から連絡を受けた。翌日の打ち合わせの顔合わせと説明された。自分は担当者として参加した。
当日:会食で取引先から性的な私生活の質問を繰り返された。答えずに仕事の話へ戻そうとした。上司が同席していたが、その発言を聞いていたかは未確認。会食の終了時刻は覚えていない。
翌日:上司に、同じ話題が続く場への参加がつらいと相談した。次の会食は別の担当にすると説明された。日中の打ち合わせは自分が担当する予定で、その場での対応方法はまだ決まっていない。
この例では、参加の経緯、当日の言動、後の調整を別にしています。翌日に担当の一部が変わったことについても、本人が望んだ調整か、別の不利益を感じているかを分けて説明できます。前後の変化を一つの結論へ急いでまとめません。
当日の言葉を全部書けなくても、相談の入口を作れる
性的な話題を詳しく再現する負担が大きいときは、日時、相手との関係、話題の種類、自分の対応、今後困る場面を先に記録できます。資料に第三者の私生活や取引先情報が含まれる場合は、会社が定める方法で所在を確認し、誰にどこまで提示するか相談します。
きろくねでは「会食の案内」「当日の言動」「翌日の相談」のメモを同じケースにまとめ、順番を振り返れます。招待メールや出張資料を無断で私物端末へ移すことはせず、自分が話したい経緯を必要な範囲で記します。アプリへ記録した内容が自動で会社や相談先に届く機能ではありません。
きろくねで、言葉と影響を別々に残す
きろくねのメモに「言われたこと」「自分の対応」「その後の仕事への影響」と書き分け、ケースにまとめて見返せます。残して差し支えない写真や、自分で録音した音声も記録として整理できます。文字起こしを使う場合は、対応端末・言語などの条件があり、音声と照らして内容を確認します。
きろくねをApp Storeで見る。相談前の整理には自分のための整理の仕方も参考になります。
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。
よくある質問
- セクハラの種類は二つだけですか?
厚生労働省は職場のセクハラを対価型と環境型で説明しています。行動を二種類に限定するという意味ではなく、さまざまな言動とその影響を捉える区分です。
- 同性同士や男性への言動も相談できますか?
はい。公式の説明では同性間も含まれ、男性も女性も被害者になり得ます。性別だけで対象外と決めず、具体的な状況を窓口に伝えてください。
- その場では笑ってしまいました。何を書けばよいですか?
笑ってやり過ごしたこと、仕事の関係で断りづらかったことなどを、そのまま残せます。後から自分の対応を書き換える必要はありません。
- 勤務時間外の飲み会なら、職場の相談になりませんか?
場所や時間だけで決まりません。職務との関係、案内や参加の経緯、参加者などを整理して相談できます。実質的な職務の延長に当たるかは個別に確認されます。
- 相手が取引先でも、会社の窓口に相談できますか?
取引先や顧客もセクハラの行為者になり得ます。仕事上の関係、言動、今後の接触の予定や困りごとを伝え、対応の進め方を確認できます。
出典・参考
きろくねは記録を助ける道具です。診断・認定・法的な判断は行いません。危険やつらさが強いときは、公的な窓口や専門家への相談もご検討ください。